下山の思想

この20年をふりかえってみて、一番に思うことは、それはもう楽しく愉快なことばかりでした。多くのことにチャレンジしました。リュックにパソコン入れてみんなであちこち遠征の旅をしました。徳島県内はもとより海外にも行きました。おかげで仲間も増えました。すべては「いきいき」していました。

そのいきいきネットとくしまが、20年の歴史に幕を下ろすことになりました。設立当初の16人の登山隊はいつのまにか100人を遥かに超える大きなキャラバンとなり、しかし次期リーダーがあらわれず、このままの状態で歩き続けることが難しくなってしまったというわけですが、でも、悲観的にとらえる必要はありません。何事にも始まりがあれば終わりがあります。登り続ける山はありません。

「下山の思想」は作家である五木寛之さんが東日本大震災の時に書かれた書物のタイトルですが、困難に直面した時にこそ、正しく前を向くことが大事であり、ふりかえり、成し得たことを礎に、時代の変化、社会のありようを見据えて、そこに広がる新しい可能性に次を託すことの大切さを説いています。

我々の今に置き換えるなら、解散をマイナスに捉えず、前向きに退会し、新しい物語へと扉を開くことが大切だという教えにも聞こえます。

いきいきネットとくしまを解散することは誰にとっても残念ですが、気持ちを切り替えましょう。「あの素晴らしい愛をもう一度」を作詞した精神科医で音楽家の北山修さんはこんな言葉を残しています。

この瞬間が惜しい、でも過ぎていく

吉田敦也 2023/4/25